年末の大掃除を前にシンクの下を開けると、スプレーが何本も並んでいます。
アルカリ電解水、中性の住居用洗剤、キッチン用のマジックリンといった顔ぶれです。
どれも「油汚れに」「家じゅうに」と書かれていて、どこに何を使うかがあいまいになりがちです。
選び分けの軸は、汚れの種類、掃除する場所、素材、手肌への負担の4つです。
いずれの洗剤も、使える場所と使えないものは商品のラベルと、掃除する家具・家電の取扱説明書が基準になります。
コンロや換気扇の固まった油には、アルカリ性のキッチン用洗剤を使います。
スイッチや冷蔵庫の扉の手あか・皮脂の拭き掃除には、アルカリ電解水が向いています。
素材がはっきりしない所や、水拭きできる場所全般は、中性の住居用洗剤が無難です。
水拭きできないものには、どれも使いません。
3つの系統を、判断軸で並べて比べる
判断軸ごとの比較表
| 判断軸 | アルカリ電解水 | 中性の住居用洗剤(ウタマロクリーナーなど) | アルカリ性のキッチン用洗剤(マジックリンなど) |
|---|---|---|---|
| 液性 | アルカリ性 | 中性 | アルカリ性(商品によって弱アルカリ性) |
| 向く汚れ | 手あか、皮脂、軽い油はね | 家じゅうの軽い汚れ全般 | コンロ、五徳、グリル、換気扇の油やこげ |
| 使えない素材の例 | 水拭きできないもの、漆器、革、絹、アルミ・銅・真鍮、ニス塗りの家具、自動車の塗装面 | 水拭きできない家具・床・壁紙、天然石、漆などの塗り製品、銀製品、自動車、液晶画面、革製品 | 家具、フローリング、水がしみこむもの、アルミ・銅・スズ・真鍮など(油汚れ用の例) |
| 手肌と目 | 肌の弱い人や長時間の作業は手袋 | ラベルの注意に従う | 炊事用手袋と、眼鏡などで目を守る |
| 得意な場面 | 洗剤分を残したくない所の拭き掃除 | 迷ったときの1本目 | キッチンの重い油 |
アルカリ電解水と中性洗剤の使えない素材を見比べると、どちらも「水拭きできないもの」が最初に来ます。
液性が違っても、水分に弱い素材には使えない、という点は共通です。
アルカリ性の2つは、さらにアルミや銅などの金属が苦手です。
表のいちばん下の「得意な場面」は、3本を持っている場合に、どれを手に取るかの目安です。
1本しか置かないなら、どの汚れが多い家かで選ぶことになります。
キッチンの油が気になる家と、子どもの手あかが気になる家では、最初の1本が変わります。

「マジックリン」は、名前が同じでも中身が違う
マジックリンは、用途ごとに何種類もある商品の名前です。
たとえば窓や鏡用のガラスマジックリンは弱アルカリ性、コンロや換気扇のコゲ・油汚れ用の泡スプレーはアルカリ性で、使える場所も使えないものも違います。
「マジックリンだからキッチンに使える」ではなく、ボトルの用途欄で選ぶのが確実です。
コゲ・油汚れ用は、アルミ製のものには使えず、塗装を傷めることがあるので目立たない所で試すよう書かれています。
中性洗剤は「台所用」と「住居用」で分けて考える
「中性洗剤」と一口にいっても、食器を洗う台所用と、床や壁を拭く住居用があります。
台所用の中性洗剤は、ボトルに書かれた用途(食器や調理器具など)の範囲で使います。
家の拭き掃除に使うなら、用途欄に住まいの場所が書かれた住居用の中性洗剤を選びます。
ウタマロクリーナーは、この住居用の中性洗剤にあたります。
液性が中性なので、アルカリ性の洗剤が使えないアルミなどに気をつかう場面で出番が増えます。
ただし、天然石や漆塗り、銀製品、水拭きできない家具は、中性でも使えないものに入ります。
汚れと場所から、1本に決める
場所ごとの1本を決める前に、弱い洗剤から順に試すという順番を頭に入れておくと、選び間違えても素材を傷めにくくなります。
- 中性の住居用洗剤で拭いてみる
- 手あかや皮脂が残るなら、アルカリ電解水に切り替える
- キッチンの固まった油なら、アルカリ性のキッチン用洗剤を使う
- それでも落ちなければ、洗剤を重ねず、道具を替えるか業者に任せる
落ちないからといって、複数の洗剤を同じ場所に重ねて吹きつけるのは避けてください。
系統の違う洗剤が混ざると、思わぬ反応や素材の傷みにつながります。
キッチンのコンロ・五徳・換気扇は、アルカリ性のキッチン用
時間がたって固まった油やこげは、軽い拭き掃除用の洗剤では落ちにくい汚れです。
キッチン用のアルカリ性洗剤を、ラベルの用途欄にコンロや換気扇が書かれているか確かめて選びます。
使うときは、炊事用手袋をはめ、眼鏡などで目を守り、換気をよくしてから始めます。
目より高い所は、直接吹きつけずに、スポンジや布に吹きつけてから拭きます。
作業はコンロの火を消し、五徳やグリルが十分に冷めてから始めます。
コンロの点火部分やレンジフードのスイッチ、照明などの電気の部分には、液がかからないようにします。
取り外せる五徳やグリルの網は、シンクで吹きつけて置き、汚れがゆるんだらスポンジでこすって水で流すと、まわりに液が飛びにくくなります。

IHのトッププレートは、コンロの取扱説明書が案内する手入れ方法と、洗剤の用途欄の両方を確かめてから使います。
レンジフードのフィルターがアルミ製なら、この系統は使えません。
換気扇を奥まで分解しないと届かない汚れは、自分で外せる範囲までにして、残りはハウスクリーニングに任せます。
スイッチ・ドアノブ・冷蔵庫の扉は、アルカリ電解水
毎日手が触れる場所の黒ずみは、手あかや皮脂が中心です。
アルカリ電解水は、こうした汚れの拭き掃除に向いています。

アルカリ電解水だけでできた商品には、界面活性剤を使っていない、無色無臭のものがあります。
洗剤のにおいを残したくない電子レンジや冷蔵庫の中の拭き掃除に選ばれやすいのは、このためです。
子どものおもちゃのように口に入りやすい物は、商品の表示に「おもちゃ」などの用途が書かれているかを見てから使います。
家電に使うときは、電源を切り、機器の取扱説明書を確かめてからにします。
見た目は水と変わりませんが、中身はアルカリ性です。
肌の弱い人や長い時間使うときは手袋をはめ、ほかのスプレー容器に移さず、買ったときのボトルのまま使います。
ニス塗りの家具や、つやのある塗装のテーブルには使いません。
浴室・洗面所や、素材が分からない所は、中性の住居用
床、壁、ドア、洗面台のまわりなど、家の中には素材がはっきりしない場所がたくさんあります。
迷ったときの1本目は、中性の住居用洗剤が無難です。
アルカリ性の洗剤より使えない素材が少なく、アルミの部品が混ざる場所でも使いやすいのが理由です。
ウタマロクリーナーの場合、成分は界面活性剤(アルキルベタイン)などで、液性は中性です。
その分、時間がたって固まった油のように重い汚れには、力不足を感じることがあります。
そのときは場所に合わせて、アルカリ電解水やキッチン用の洗剤へ一段ずつ進めます。
ただし、大理石などの天然石の洗面台や床には、中性の住居用洗剤も使えない商品があります。
天然石は、施工元やメーカーが案内する手入れ方法に従ってください。
どの洗剤でも使わない所
水拭きできない白木や無垢の家具、水拭きできない壁紙など、水分に弱いものには使いません。
漆器、革製品、自動車の塗装面も、使わない側に入ります。
テレビやパソコンの画面は、機器の取扱説明書の方法で手入れします。
手肌・保管・そろえ方で、最後に絞る
手肌への負担で選ぶ
アルカリ性の洗剤は、肌の弱い人や長い時間の作業では、手袋をはめるようラベルに書かれていることが多い系統です。
キッチン用のアルカリ性洗剤は、手袋に加えて、液が飛んだときに備えて目の保護も求められます。
大掃除のように何時間も続ける日は、どの洗剤でも炊事用手袋をはめると決めておくと、手荒れの心配が減ります。
目に入ったときは、こすらずに流水で洗い流し、製品の表示にある応急処置に従います。
保管と詰め替えで気をつけること
どの洗剤も、子どもの手が届かない場所に置き、ほかの容器に移し替えないのが基本です。
アルカリ電解水の中には、直射日光の当たる所や高温になる所、アルミやニス塗りの家具の上に置かないよう書かれた商品もあります。
キッチン用と住居用を同じ棚に並べるなら、用途の違いが分かるように、ボトルの正面を手前に向けておくと取り違えが減ります。
塩素系のカビ取り剤や酸性のトイレ用洗剤とは、棚を分けておきます。
そろえる本数の考え方
1本だけ選ぶなら、中性の住居用洗剤です。
使えない素材が少なく、家の中の多くの場所に使えます。
2本にするなら、キッチンの油用に、アルカリ性のキッチン用洗剤を足します。
3本にするなら、手あかや家電の拭き掃除用に、アルカリ電解水を足します。
本数を増やすほど、どこに何を使うかを決めておく必要が出てきます。
スプレーの肩に「キッチン」「リビング」とテープで書いておくだけでも、使う場所の迷いは減ります。
汚れの重さと素材の弱さを見て、強い洗剤ほど使う場所を絞るのが、3本を使い分けるときの考え方です。
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