縮んでフェルトのように固くなったウールのセーターは、元の風合いに戻すのは難しい場合があります。
冬物の洗濯の失敗は、洗い方の細かい手順より、洗う前の確認を飛ばしたときに起きることが多いものです。
ダウンもセーターも、家で洗えるかどうかは、内側のネームタグの洗濯表示がまず決めます。
そのうえで、冬物の手入れは着ているあいだ、洗う日、しまう日の3つの時期に分けて考えると、段取りが立ちます。
冬のあいだは、汚れをためない着方をする
厚手のセーターやダウンは、毎回洗う物ではありません。
洗う回数の目安は汚れ具合で、長袖の肌着の上に着ている冬物なら、汚れたときやにおいが気になったときに洗えば足ります。
その代わり、着ているあいだの扱いで、洗う日の手間が変わります。
- 脱いだらすぐたたまず、ハンガーにかけてしばらく湿気を逃がす
- 食べこぼしや襟元の汚れは、気づいた日に部分だけ手当てする
- 雨や雪でぬれた日は、乾いてからクローゼットに戻す
襟・袖口・前身ごろは皮脂や食べこぼしが付きやすい所なので、脱いだときにちらっと見る習慣があると、シミが古くなる前に気づけます。
汚れたまま着続けて冬の終わりにまとめて洗うと、時間のたった皮脂が黄ばみとして残ることがあります。
洗う前に、タグと素材と付属品を見る
タグで、洗い方が3つに分かれる
ネームタグの洗濯おけの記号で、その服の洗い方は3つに分かれます。
| おけの記号 | 家での洗い方 |
|---|---|
| 数字と下線(1本・2本) | 洗濯機の弱いコースで洗える |
| 手の形 | 手洗い、または洗濯機のやさしく洗うコース |
| × | 家で水洗いせず、クリーニング店へ |
あわせて、四角の中の記号で干し方を見ます。
ニットには、平らに広げて干す平干しの記号が付いていることが多く、ハンガーにかけると重みで肩が伸びることがあります。
乾燥機に入れてよいかは、四角の中の丸に×がないかで分かります。

付属品と色を見る
洗う前に見る所
フードのファーは本物(リアルファー)か、フェイクファーか、外せるか
革のボタンや飾り、ベルトが付いていないか
濃い色の服は、目立たない所に洗剤の原液を付けてしばらく置き、白い布で押さえて色が移らないか
ポケットに物が残っていないか
縫い目のほつれや、羽毛が飛び出している穴がないか
ほつれや穴は、水の中で広がることがあるので、洗う前に繕うか、穴の場所を外側にしないようにたたみます。
羽毛が出てくる穴の多いダウンは、家で洗う前にクリーニング店に相談するほうが、中身を減らさずに済みます。
リアルファーは家で洗えないので、外せる物は外してから洗い、外せない物はクリーニング店に出します。
色が移る服は、ほかの物と一緒にせず、単独で手早く洗います。
色落ちしない服でも、濃い色のセーターと白いセーターは、互いの毛羽が付くので分けて洗います。
セーター・ニット・おしゃれ着は、押して洗う
ウールは、水にぬれた状態でもんだりこすったりすると、繊維どうしが絡み合って縮みます。
冬物を洗う日の基本の動きは、もまずに押すことです。
襟や袖口の汚れた部分を外側にしてたたみ、汚れにおしゃれ着用の洗剤の原液をなじませます。
洗面器に、洗濯表示の温度を超えない水を張り、おしゃれ着用の洗剤を溶かします。
たたんだまま沈め、浮かせる動きをくり返して、やさしく押し洗いします。
きれいな水に替えて、同じように押してすすぎ、水を替えてもう一度すすぎます。
洗濯ネットに入れて、洗濯機でごく短く脱水します。
形を整えて平干しにし、日の当たらない所で乾かします。

ウールは直射日光で黄ばんだり色あせたりすることがあるので、陰干しにします。
洗濯機で洗う場合は、おしゃれ着やドライといった名前の、やさしく洗うコースを選び、セーターは洗濯ネットに1枚ずつ入れます。
手洗いでも洗濯機でも、脱水が終わったらすぐに取り出して、しわと形を手で整えてから干します。
洗剤は、毛や絹が洗える表示のあるおしゃれ着用の中性洗剤を選びます。
ふだんの洗濯用の洗剤は、毛・絹に使えない物があり、縮みや傷みのもとになります。
洗剤は、毛・絹が洗える表示で選ぶ
おしゃれ着用の洗剤を選ぶときは、容器の裏の「洗えるもの」の欄に毛(ウール)や絹があるかと、使えない素材の欄を見ます。
ダウンにも使えるかは、商品によって書き方が違うので、羽毛製品について書かれているかも合わせて見ます。
冬物の洗い物が多い家は、詰め替え用のある物を選ぶと、ふだんの洗剤と取り違えずに置き場所を分けられます。
マフラー・ニット帽・手袋
小物も、洗い方はセーターと同じで、タグを見て、押し洗いして、平らに干す流れです。
小さい物ほど洗濯ネットの中で動きやすいので、たたんでからネットに入れ、ネットの大きさを合わせます。
手袋は、革が使われている物や、内側に別の素材が貼られている物があるので、洗う前に素材の表示を見ます。
革の付いた手袋や、タグのない小物は、家で水洗いしません。
ダウンは、押し洗いして、中まで乾かす
家で洗えるダウンは、タグに手洗いか洗濯機の記号が付いた物です。
洗う前に、ファスナーやボタンを閉じ、襟や袖口の汚れにおしゃれ着用の洗剤の原液をなじませます。
洗い方の流れはセーターと同じく、たたんだまま押し洗い、すすぎ、ごく短い脱水です。
大きくて洗面器に入らないロングのダウンは、縦型の洗濯機の槽を、洗いおけの代わりに使う方法もあります。
脱水は、洗濯表示で脱水の指定を見たうえで、ごく短めにします。
長く回すと、薄い表地や縫い目に負担がかかり、中の羽毛が片寄って型崩れのもとになるためです。
ダウンは羽毛が空気を含んでいるので、押し洗いのはじめは水に浮きやすく、ゆっくり押して中まで洗剤液をしみ込ませます。
乾かし方
脱水が終わったら、放置せず取り出し、厚みのあるハンガーにかけて陰干しします。

ぬれているうちは羽毛が水を含んで固まっているので、強くもみほぐさず、ある程度乾くまで待ちます。
表面が乾いてきたら、片寄って固まった所を手でやさしくほぐし、両手ではさんで軽くたたいて形を整えます。
中の羽毛は表面より乾きにくく、乾ききらないままだとにおいやカビの原因になるので、中まで乾くまで、室内で日数をかけて干します。
すっかり乾いたら、縦と横の両方から軽く振りさばいて、羽毛に空気を含ませます。
家で洗わずに、店に出す冬物
家で洗わない冬物
洗濯表示のおけに×が付いた物
外せないリアルファーや、革の付属品が付いた物
型崩れが気になるウールのコートや、仕立ての込み入った服
高級品や、思い入れがあって失敗できない物
クリーニング店に出すときは、シミの場所と、何のシミか分かればそれも伝えます。
家で試したことがあれば、それも合わせて伝えると、店で手当ての方法を選ぶ材料になります。
コートやダウンのようにかさばる冬物が多い家は、店に持ち込む代わりに、箱に詰めて送る宅配のクリーニングを使う方法もあります。

受け付ける品物、仕上がりまでの日数、付属品の扱いはサービスごとに違うので、申し込む前に受付の条件を読みます。
ファーやベルトのように外せる付属品は、付けたまま送るか外して手元に残すかも、その条件に合わせて決めます。
縮んでしまったセーター
縮んで固くなったウールは、元の大きさや風合いに戻すことを前提にしないほうが、ほかの冬物を守る判断につながります。
家での手当てを重ねる前に、まだ着られるかどうかを、クリーニング店に相談するのも一つの方法です。
ウールが縮むきっかけになるのは、ぬれた状態でもむ・こすること、表示の温度を超えるお湯、毛が洗えない洗剤、乾燥機の熱です。
どれも、洗う前にタグと洗剤の裏を読めば避けられる失敗です。
同じ失敗を防ぐには、縮んだ服のタグをもう一度読み、手洗いの記号や×を見落としていなかったかを振り返ります。
春、しまう日の段取り
暖かくなって袖を通さなくなった冬物は、しまう前に洗うのが、次の冬の黄ばみを防ぐいちばんの手当てです。
汗や皮脂は、洗い落とされないまま時間がたつと酸化して黄ばみになります。
一冬分の汚れを残したまましまうと、秋に出したときに襟や袖の色が変わっていることがあります。
| 時期 | すること |
|---|---|
| 着なくなった週 | 汚れの目立つ所を見て、家で洗う物と店に出す物に分ける |
| 晴れて湿度の低い日 | 家で洗える物を洗い、中まで乾かす |
| 乾いたあと | 形を整えて、湿気の少ない場所にしまう |
一度にすべてを洗おうとせず、着なくなった物から順に洗っていくと、乾かす場所も足ります。
しまう場所は、湿気がこもりにくく、服を詰め込みすぎないクローゼットや衣装ケースにします。
少しでも湿り気の残った冬物を、ふたの閉まるケースにしまうのは避けます。
ニットはハンガーにかけたままにすると肩が伸びることがあるので、たたんでしまいます。
衣装ケースには、重い物を下に、ニットやダウンのようにつぶれやすい物を上にして、ふたが無理なく閉まる量に収めます。

ダウンのように乾くのに日数がかかる物は、天気が安定する時期を選びます。
クリーニング店に出す物は、店が混み合う衣替えの時期より少し早めに出すと、受け取りまでの日数に余裕が出ます。
朝の冷え込みがゆるみ、ダウンを着ずに出かける日が何日か続いたら、それが冬物の洗い時の合図です。
その次の晴れて空気の乾いた休日、室内の物干しに平干しのネットを広げ、洗い上がったセーターを1枚ずつ並べるところから、冬物のしまい支度が始まります。
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