便器の中をブラシでこすったあと、同じ手袋で便座やふたを拭くと、便器の汚れを便座に広げてしまいます。
床を先に拭けば、あとから払ったほこりが床に落ちて、もう一度拭き直すことになります。
トイレ掃除の手間を減らす近道は、洗剤を強くすることより、手を付ける順番を決めることです。
上から下へ、きれいな所から汚れた所へ。
この順に進めれば、拭いた所を汚し直さずに一回りできます。
温水洗浄便座(ウォシュレットなど)はノズルの出し方が機種で違うので、取扱説明書を手元に出してから始めると、途中で手が止まりません。
始める前に、洗剤の系統と布を決める
洗剤は、その日に使う系統を1つにする
トイレ用の洗剤には、ふだん使いの中性、黄ばみや尿石向けの酸性、黒ずみやカビ向けの塩素系があります。
酸性と塩素系は、混ざると有害な塩素ガスが出る組み合わせです。
掃除の日ごとに使う系統を1つに決め、酸性と塩素系を続けて使うのは避けて、別の日にしてください。
便器の水がたまる所の奥には、前に使った洗剤が残っていることがあります。
布は、便座用と便器の外・床用に分ける
便座や温水洗浄便座の本体は、肌に触れる所です。
便座・ふた・本体を拭く布と、便器の外側や床を拭く布を分けると、床の汚れを便座に運ばずに済みます。
使い捨てのトイレ用シートを使う場合も、拭く場所が変わるたびに新しい1枚に替えます。
洗剤の形とブラシは、届かせたい場所で選ぶ
同じ系統の洗剤でも、容器の形で届く場所が変わります。
- 先の曲がったノズルの液体・ジェル: フチの裏に向けて注げるため、便器の内側用に向きます。とろみのあるものは、内側の壁に留まります。
- 泡やスプレー: 便器の外側や便座のまわりなど、広い面に薄く広げたい所に向きます。温水洗浄便座の本体には直接吹きかけず、布に含ませます。
- 使い捨てのシート: 便座や床の境目のように、布を洗うのが手間な所に向きます。流せるかどうかは商品の表示で分かります。
ブラシは、フチ裏に届くように先が曲がった形か、細いすき間に入る小さめの頭のものが扱いやすいです。
ブラシのケースに水がたまりにくい形かどうかも、毎日の手入れに関わります。
洗剤は系統で、容器とブラシは届かせたい場所で選ぶと覚えておくと、買い足すときの手が早くなります。
そろえるものは、ゴム手袋、トイレブラシ、使う系統のトイレ用洗剤、布かシートを2種類です。
窓を開けるか換気扇を回してから始めます。
酸性や塩素系の洗剤は、肌に付くと手荒れの原因になります。
ゴム手袋はブラシを持つ前に着け、片付けが終わるまで外さないようにします。
液が目に入ったときは、こすらずにすぐ流水で洗い、商品の表示に書かれた応急処置に従ってください。
体調に不安があるときは医療機関へ、受診するか迷うときは中毒110番に相談できます。
便器にこれは使わない
金属ブラシ、研磨剤入りのナイロンたわし、研磨剤入りの洗剤は、便器の表面の傷の原因になります。
業務用の強い酸性・アルカリ性の洗剤も、家庭の便器には使いません。
温水洗浄便座の本体には、シンナーやベンジン、クレンザーを使いません。
上から下へ、拭き直しのない順で一回りする
窓を開けるか換気扇を回し、ゴム手袋を着けてから道具を出します。
タンクのふたの上、手洗い器のまわり、棚、壁の上のほうのほこりを、乾いた布やハンディモップで落とします。
ほこりは下に落ちるので、床は最後に回します。
ノズルそうじのボタンがある機種は、電源が入ったままボタンでノズルを出し、ぬらした柔らかい布か、メーカーが指定するシートで拭きます。
拭き方と使える物は機種で違うので、取扱説明書の手順に合わせます。

ノズルが戻ったら、取扱説明書に従って電源プラグを抜いてから、本体と便座を拭きます。
水でぬらした柔らかい布をよく絞り、本体に水や洗剤を直接かけず、布に含ませて拭きます。
便座の裏、本体と便座のすき間、ふたの付け根は汚れがたまりやすい所です。
拭き終えたら、手を乾かしてからプラグを差し直します。
洗剤をフチの裏にかけ、ブラシでフチ裏、内側の壁、水がたまる所の順にこすります。
水がたまる所では、ブラシを水面の下で動かすと水はねを抑えられます。
洗剤の置き時間は商品の表示に従い、最後に水を流します。
布を床用に替えて、便器の外側、便器と床の境目、壁の下のほうを拭きます。
床に落ちた水や洗剤は、放っておくとシミの原因になるので拭き取ります。

ブラシは便器のフチにはさんで水を切り、しばらく乾かしてからケースに戻します。
濡れたまましまうと、ケースの底にたまった水が汚れやにおいの元になります。

手袋を外したあと、手を洗って終わります。
ボタンで出したノズルが、しばらくして自動で戻る機種もあるので、拭く布は先に手元に用意しておきます。
ボタンのない機種でノズルを手で引き出してよいかは、機種によって違います。
取扱説明書に書かれていない引き出し方や、部品の取り外しはしないでください。
ノズルと本体のすき間は、一回りの日を待たずに、汚れに気づいたときに布で拭いておくと、こびりつく前に落とせます。
時間がない日は、3か所だけ
来客の前や、朝の身支度の合間のように時間が取れない日は、手順を全部回す必要はありません。
目に入る便座の表、においの出やすい床の境目、水がたまる所の輪の3か所だけを片付けます。
便座はよく絞った布で拭き、床の境目はシートで拭き、輪はブラシでひとこすりして水を流せば、短い時間で見た目とにおいが整います。
手順を全部回す日は、週末など時間の取れる日にまとめると、毎回の負担が偏りません。
汚れ別に、ここだけ手を足す
この順で落とせなかった汚れには、汚れの種類に合わせて手を足します。
水がたまる所の黒い輪
水がたまる所のふちに出る黒い輪は、ほこりや水垢が重なった黒ずみであることが多く、中性洗剤とブラシで何度かこすると薄くなります。
こすっても色が残る点々なら黒カビの可能性があり、便器に使えると表示された塩素系のトイレ用洗剤の出番です。
塩素系を使う日は、酸性の洗剤を使った日と分けてください。
輪は、薄いうちほど軽いひとこすりで消えます。
水を流したあとに輪がうっすら見えたら、ブラシで一度なでておくだけで、黒く育つ前に止められます。
黄ばみと尿石
水がたまる所の上の線や、フチの裏の黄色〜茶色の固い汚れは、尿の成分が固まった尿石です。
中性洗剤では落ちにくく、トイレ用の酸性洗剤を使います。
酸性のトイレ用洗剤は、金属製品と大理石(人工大理石を含む)には使えません。
便座の金具や床、ステンレスの手すりに液が付いたら、すぐ水で流してください。
原液のまま使うと、タイルの目地を傷めることもあります。
置き時間を表示より延ばしても、厚く育った尿石が一度で取れるとは限りません。
何度か繰り返しても残る厚い尿石を、研磨の道具や硬いへらで削るのは避けてください。
便器の表面に傷が付くと、そこに汚れが入り込み、かえって掃除が大変になります。
繰り返しても残る場合は、無理に削らず、ハウスクリーニングの業者に相談する方法もあります。
タンクと手洗い器
手洗い器のある陶器のタンクは、ふたの上の手洗い器にたまる白い水垢が目立ちます。
スポンジと中性洗剤で落ちない水垢には酸性の洗剤を使い、使ったあとは水でよく流します。
タンクの中で、覚えておきたいこと
タンクの中には、水を止める部品や流す部品が入っています。
中を掃除するときは、取扱説明書に外し方と手入れの方法が載っている場合だけ、その範囲で行います。
部品を外したり曲げたりすると、水が止まらなくなる原因になります。
止水栓まわりの部品も、止水栓を開けたまま外すと水が噴き出すことがあります。
手洗い付きのふたは、裏側で給水の管がつながっている機種があり、持ち上げるときは、ゆっくり外して管を引っ張らないようにします。
タンクの中の部品の交換や修理、水漏れは、メーカーや水道の業者に相談する範囲です。
賃貸の住まいなら、先に管理会社へ連絡してください。
便器はきれいなのに、においが残る
便器をきれいにしても、トイレのにおいが残ることがあります。
においの元になりやすいのは、便器と床の境目や、便器の横の壁の下のほうに飛んだ小さなしずくです。
床と壁の下は、手順の最後に布を替えて拭く所ですが、においが気になる時期はここだけ毎日シートで拭くと変わってきます。
小さな飛び散りは、乾いて床にしみ込む前なら、シート1枚でさっと取れます。
床がクッションフロアなら、床用には中性の洗剤か水拭きを選んでください。
酸性や塩素系の洗剤が付いたままになると、シミや変色の原因になることがあります。
湿気がこもると、床や壁の汚れが乾きにくく、においも残りやすくなります。
掃除のあとも換気扇を回したままにして、床の水気が引くまで湿気を外へ出しておきます。



