鏡や洗面台の水垢落としには、段階があります。
酸性の洗剤で溶かす段階、研磨の道具で削る段階、そして手を止める段階です。
落ちない、くもった、傷が付いた、という失敗の多くは、汚れの厚さと、使った段階がずれているところから起きます。
どの段階まで進めてよいかを決めるのは、鏡や水栓の取扱説明書と、洗剤や研磨パッドの「使えないもの」の欄です。
溶かす、削る、手を止める
水垢の落とし方は、弱い段階から順に試し、素材と加工が許す所で止めるのが失敗の少ない進め方です。
道具も、この順番に合わせて1つずつ足していきます。
汚れが厚く見えても、いきなり研磨から入らず、洗剤の段階を一度通すと、思ったより薄い水垢だったと分かることもあります。
中性洗剤と柔らかいスポンジで洗います。
表面の皮脂や石けんの膜が取れると、水垢がどこにどれだけあるかが見えてきます。
洗剤は、家にある台所用や浴室用の中性洗剤で足ります。
クエン酸や水垢用の洗剤を、表示どおりに使います。
最初に買い足すのはこの1本です。
買う前に、使えないものの欄に自宅の洗面台や水栓の素材が入っていないかを見ます。
終わったら水で流して、乾いた布で拭き上げます。
洗剤で薄くならない所にだけ使います。
使える面は商品ごとに細かく決まっているので、鏡・陶器・ステンレスのどれに使えるかを表示で見てから選びます。
ダイヤモンドパッドのような研磨パッドは、いちばん強い段階の道具で、買うのも最後です。
出番は、加工のないガラスの鏡や、表示で使える陶器の厚い水垢です。
加工のある鏡、メッキ、樹脂、天然石で落ちなければ、そこで終わりにします。
白さが残って気になる鏡は、交換について販売店やメーカーに相談する方法もあります。
ダイヤモンドパッドは、くもり止め加工・撥水加工・フィルム貼りの鏡、樹脂、すりガラス、車のガラスやミラーには使えません。
「鏡用」と書かれた研磨パッドでも、自宅の鏡に加工があれば使えません。
強い道具から買うと、使えない面にまで手が伸びます。
次の段階に進むのは、前の段階を表示どおりに何度か試しても、白い範囲が変わらないときだけです。
少しでも薄くなっているなら、同じ段階を日を変えて続けるほうが、素材を傷めずに済みます。
研磨の段階に進む前に
磨く面の素材と加工を、取扱説明書や品番で見ておきます。
表面の砂やほこりを先に水で洗い流します。
砂が残ったまま磨くと、その砂で表面に傷が付きます。
目立たない端で小さく試してから、広い面に移ります。
「落ちない」で止まるとき
クエン酸で湿布したのに、白いまま
クエン酸の液をキッチンペーパーに含ませて鏡や蛇口に貼る方法は、薄い水垢をゆるめるのに向いています。
ただ、紙が乾くと、液が汚れに届かなくなります。
紙の上からラップで覆えば乾きにくくなり、液が汚れに触れている時間を保てます。
くもり止めなどの加工がある鏡には、クエン酸を使えないことがあるため、湿布の前に加工の有無を見ておきます。
時間を延ばすほど落ちるわけではなく、置いたまま放っておくと金属の変色の原因になります。
置き時間は商品の表示に従い、はがしたら水で流して乾いた布で拭き上げてください。
厚く盛り上がった水垢に、液だけで挑んでいる
爪でこすってもまったく削れない、指でなぞると段差が分かるほどの水垢は、洗剤で溶かす段階を過ぎています。
何度湿布を繰り返しても、表面がわずかに薄くなるだけで終わりがちです。
このときは研磨の段階に進むかどうかを、磨く面の素材と加工を見てから決めます。
厚さを見るには、鏡を乾かした状態で、斜めから光を当てるのがこつです。
濡れている間は目立たない水垢も、乾くと白い輪や点として浮かんできます。

濡れたまま「落ちた」と判断して終わると、乾いたあとに白さが戻って見えることがあります。
蛇口の根元のすき間に、白い輪が残る
蛇口の根元や、ハンドルと本体の境目のすき間は、スポンジの面が当たらない所です。
平らな面の水垢が落ちても、すき間の白い輪だけが残るのは、液と道具が届いていないためです。
メッキの水栓に酸性の洗剤を使えるかを取扱説明書で見たうえで、クエン酸の液を含ませたキッチンペーパーを細長くねじり、根元にぐるりと巻いてから、上をラップで覆うと、すき間にも液が触れ続けます。

はがしたあとは、毛先の柔らかい歯ブラシで輪の部分を軽くこすり、水で流して乾いた布で拭き上げます。
すき間に硬いへらや針のような物を差し込んで削ると、メッキやパッキンを傷めます。
表示の時間で薄くならない輪は、いったん止めて、次の日にもう一度同じ手順で試すほうが、素材への負担が少なく済みます。
洗面ボウルのふちだけ、何度落としても白くなる
蛇口のまわりや洗面ボウルのふちは、毎日の水滴が乾く場所です。
水垢は、水が蒸発したあとに水道水のミネラルが残ってできます。
落としても、使ったあとの水滴が毎日乾いていれば、同じ所にまた積み重なります。
これは掃除のやり方より、使い終わりの拭き方の問題です。

歯みがきや手洗いのあと、ボウルのふちと蛇口の根元に残ったしずくを、乾いた布で一度拭くだけで、白い膜の育ち方が変わります。
浴室の鏡は最後に入った人がスクイジーでひと拭き、洗面台は朝の身支度の終わりに蛇口のまわりをひと拭き。
濡れたタオルではなく、乾いた布を洗面台の近くに1枚置いておくのが続けるこつです。
「傷めた」で後悔するとき
くもり止めの鏡を削ってしまった
浴室や洗面台の鏡には、表面にくもり止めの加工がされているものがあります。
加工は表面のごく薄い膜で、研磨パッドやクレンザー、硬い布でこすると傷が付き、一度削れた膜は元に戻りません。
加工があるかは、洗面化粧台や浴室の取扱説明書、メーカーの品番で調べられます。
分からない鏡は、加工があるものとして扱い、研磨はしないほうが安全です。
加工のある鏡は、水を含ませた柔らかい布か、薄めた中性洗剤で拭くのがふだんの手入れです。
加工のある鏡の厚い水垢は、家庭では落としきれないこともある、と考えておいてください。
蛇口のメッキを曇らせた
銀色に光る水栓の多くは、表面にメッキがかかっています。
研磨剤入りの洗剤や硬いたわし、メラミンスポンジでこすると、表面に細かい傷が付き、光り方が変わって見えます。
水栓は、柔らかい布と中性洗剤でふだんの手入れをします。
ハンドルの付け根や吐水口のまわりの細かいすき間は、毛先の柔らかい歯ブラシで軽くこすれば、表面を傷めずに汚れをかき出せます。
水垢が付いたときに酸性の洗剤を使う場合は、取扱説明書で使えるかを見て、短い時間で流して拭き取ってください。
一度曇ったメッキは、研磨剤で磨いても元の光り方には戻りにくく、こするほど傷が広がります。
気になるときは、水栓の品番を控えて、メーカーや販売店に部品や交換を相談します。
樹脂の洗面ボウルに、くもりと細かい傷
人工大理石を含む樹脂の洗面ボウルは、陶器より表面がやわらかい素材です。
白い水垢を落とそうと、研磨剤入りのクリーナーやメラミンスポンジで強くこすると、こすった所だけつやが消えて、白っぽくくもって見えることがあります。
くもりの正体は細かい傷で、そこに汚れが入り込むと、前より汚れが目立つようになります。
樹脂のボウルは、中性洗剤と柔らかいスポンジでの手入れが基本の線で、それより強い洗剤や道具は、取扱説明書の手入れの欄に載っている物だけを使います。

つやを戻そうとして、さらに研磨剤でこするのは避けてください。
傷の補修ができるかは、洗面化粧台のメーカーに品番を伝えて相談します。
大理石の洗面台がくすんだ、金属の色が変わった
天然の大理石は、酸に弱い石です。
クエン酸や酸性の洗剤が付くと、表面がくすんだり溶けたりします。
クエン酸は、大理石・コンクリート・アルミ・銅・真ちゅう・鉄製品には使えません。
鏡のまわりの金具や排水口の金属に液が飛んだら、すぐに水で流して、乾いた布で拭き上げるところまでを一続きの作業にしてください。
人工大理石の洗面ボウルも、使える洗剤は製品ごとに違うため、取扱説明書の手入れの欄が頼りになります。
くすんでしまった石の表面や、色の変わった金属は、家庭で磨いて戻そうとせず、施工した会社やメーカーに相談してください。
鏡に加工があるか分からないまま磨きたくなったら、手を止めて、洗面化粧台の扉の内側や取扱説明書に書かれた品番を控えてください。
品番が分かれば、メーカーの案内で鏡の加工と手入れの方法が分かり、次にウロコ取りを買うときにも、使える道具を選べます。
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