湯船につかって天井を見上げると、照明のまわりに黒い点がぽつぽつと散っています。
目線を下ろせば、ドアの下のゴムパッキンにも黒い線が走っています。
お風呂の黒カビは、出ている場所と、こすったときの残り方で、やることが変わります。
同じカビ取り剤でも、壁の点と天井とパッキンの奥では、使い方も、どこまで落ちるかも違います。
置く時間や使える素材は商品ごとに違うので、手元のカビ取り剤の表示と、浴室の取扱説明書を優先してください。
点なのか、線なのか、頭の上なのかを先に見分けておくと、同じ所に何度も吹きつけ直さずに済みます。
カビ取り剤を使う前の身支度
カビ取り剤の多くは塩素系です。
効き目が強いぶん、使う前の準備で安全が決まります。
カビ取り剤を使う前に
窓や戸を開け、換気扇を回します。
ゴム手袋、マスク、目を守る眼鏡を着けます。
入浴中や、家族が浴室を使っている時間には使いません。
子どもやペットは浴室から離します。
酸性の洗剤やクエン酸、食酢、アルコールと一緒に使いません。
酸性の洗剤と混ざると、有害な塩素ガスが出ます。

鏡の水垢をクエン酸で落とす日と、カビ取り剤を使う日は分け、ほかの洗浄剤を続けて使うのは避けて、別の日にしてください。
作業の前に、浴室の中のタオルやバスマット、子どものおもちゃを外へ出しておけば、液がかかって色が抜けることもありません。
体調がすぐれないときは使わず、作業中に目がしみる、せき込む、気分が悪くなったときは、すぐにやめて浴室を離れ、症状が続くなら医療機関に相談してください。
液が目に入ったときは、こすらずにすぐ流水で洗い流します。
表示に「15分以上」とある商品が多いので、洗う時間は商品の表示に合わせ、洗い流した直後に眼科を受診します。
受診のときは、使った商品を持っていくと伝わりやすくなります。
カビ取り剤の形は、カビの場所で選ぶ
カビ取り剤は、同じ塩素系でも容器の形で向く場所が違います。
1本で浴室全体をまかなおうとすると、パッキンでは液が垂れ、広い壁ではジェルが足りない、ということが起きます。
- スプレー・泡: 壁や床の目地のような広い面に向きます。泡は吹きつけた所に留まり、どこに付けたかが目で分かります。
- ジェル: ゴムパッキンや目地の細い線、縦の面に向きます。液が垂れにくく、狙った所にだけ付けられます。
- 細いノズルやペン型: 目地の1本や、パッキンの角のような小さい範囲に向きます。
広い面にスプレー、細い所にジェルと分けて2本そろえれば、どちらか1本で無理をする場面が減ります。
ゴム手袋とマスクに加えて、目を守る眼鏡も、カビ取り剤のそばに置いておく道具です。
症状ごとの対処の早見表
症状ごとの最初の一手と、落ちないときの次の一手は、次のように分かれます。
| 症状 | まず行うこと | 落ちないとき |
|---|---|---|
| 壁や床の目地に黒い点 | カビ取り剤を吹きつけ、表示の時間置いて水で流す | 表示の範囲で時間を延ばす。目地が欠けていれば補修 |
| ゴムパッキンの黒い線 | 液が流れにくいジェルや、上に紙を当てる方法で留める | 奥まで黒いものは交換やコーキングの打ち直し |
| 天井の黒い点 | スプレーを上に向けず、布やスポンジに含ませて塗る | 天井一面に広がっていれば業者に相談 |
| ピンクのぬめり | 中性洗剤でこすって流す | カビ取り剤より、水気を残さない習慣で減らす |
壁や床の目地に黒い点が出ている
壁や床の目地の黒い点は、カビ取り剤がいちばん届きやすい場所です。
スプレーは、ボトルに書かれた距離だけ目地から離して吹きつけ、表示された時間だけ置いてから、シャワーでよく流します。
置き時間は、ボトルに書かれた時間に合わせます。
約5分、しつこい汚れで15〜30分を目安にしている商品もありますが、時間は商品ごとに違います。
表示より長く置いても、効き目が上がるとは限りません。
流すときは、カビ取り剤を付けた所より上からシャワーをかけ、床の排水口まで液を流しきります。
流し残しがあると、あとで別の日に使う酸性の洗剤と、目地や排水口で出会うことになります。
使えない素材も、吹きつける前に見ておきます。
塩素系のカビ取り剤は、木製品、ホーロー・アルミ・真ちゅうの金属製品、しっくい壁・クロス壁、浴槽栓などの黒いゴムには使えません。
磁石の付く化粧鋼板のユニットバスの壁にも使いません。
鋼板かどうかは、壁に磁石を当てて見分けられます。
獣毛のハケやブラシで塗るのも避けてください。
ピンクのぬめりは、こすって落として乾かす
排水口のまわりやボトルの底のピンクのぬめりは、黒カビと違い、こすって落とすのが基本です。
浴室用の中性洗剤とスポンジで十分で、カビ取り剤を使う必要はありません。
ぬめりが出やすいのは、シャンプーボトルの底、椅子や洗面器の裏、排水口のふたの裏、ドアの下の溝のように、水がたまって乾きにくい所です。
黒カビもピンクのぬめりも、湿気と、石けんや皮脂の残りがあるところで増えます。
カビ取り剤で落としたあとに、戻ってくるまでの間を延ばすのは、毎日の入浴後のちょっとした作業です。
「最後の人が流して、水気を切って、換気扇を回す」を家族の決まりにしておくと、次にカビ取り剤を出す日までの間が少しずつ空いていきます。

ゴムパッキンの奥まで黒い
ドアや浴槽まわりのゴムパッキンは、黒カビが残りやすい場所です。
ゴムパッキンにも使えると表示されているかを、商品の用途の欄で見てから使ってください。
液が流れ落ちないように留める
パッキンは縦の面や細い溝が多く、スプレーの液がすぐ流れ落ちます。
ジェルタイプのように液が垂れにくいものを使うか、パッキンの上にキッチンペーパーを当ててから吹きつけ、紙ごと液を留める方法があります。

置く時間は表示の範囲にとどめ、紙を外すときもゴム手袋を着けたまま作業します。
外したあとは、残った液をシャワーで十分に流します。
薄くならない黒は、ゴムの中の色
表面の点が消えても、ゴムの奥に入り込んだ黒い色は、カビ取り剤を繰り返しても薄くならないことがあります。
同じ所に何度も吹きつけると、ゴムそのものが傷んで硬くなったり、すき間ができたりする原因になります。
何度か試しても色が変わらなければ、それ以上強い洗剤や長い置き時間で追いかけないでください。
パッキンの交換や、浴槽まわりのコーキング(すき間を埋めるゴム状の材料)の打ち直しを検討する段階です。
ホームセンターで補修材も手に入りますが、賃貸の住まいなら、先に管理会社へ相談してください。
天井の黒い点
天井は、カビ取り剤の扱いにいちばん気を使う場所です。
スプレーを上に向けて吹きつけると、液が霧になって顔に降りてきたり、しずくが目に落ちてきたりします。
カビ取り剤のスプレーは、目より上に向けて吹きつけないでください。
天井の作業は液が上から落ちてくる向きなので、保護メガネとマスクを着けてから始めます。
天井に使うときは、液をスポンジや布に含ませて、塗りつける方法をとります。
柄の付いたスポンジやフロアワイパーに布を付ければ、脚立に乗らずに届き、顔を天井から離して作業できます。

脚立を使う場合は、濡れた床で脚がすべらないよう、床の水気を拭いてから立ててください。
目線より上に使えないジェルもあるため、天井に使えるかはボトルの用途の欄で見分けます。
置いたあとは、水を含ませた布で何度か拭き取り、液を残さないようにします。
天井は湯気が当たって乾きにくい所なので、拭き取ったあとは乾いた布で水気を取り、換気扇を回して乾かしてください。
照明や換気扇の開口部のまわりには、液を付けないようにしてください。
天井一面に広がっている、浴室乾燥機や換気扇の中まで黒い、という状態は、家庭で無理をせずハウスクリーニングの業者に相談する範囲です。
続けるか、手を止めるかの目安
カビ取り剤は、繰り返し使えば使うほど落ちる、というものではありません。
次のどれかに当てはまったら、同じやり方を続けるのをやめて、別の手に切り替える合図です。
- 表示どおりの時間で何度か試しても、黒い色の濃さが変わらない
- ゴムパッキンが硬くなった、ひびが入った、すき間ができた
- 目地が欠けて、黒い色が溝の中に残っている
- カビが天井一面や壁の広い範囲に広がり、塗りつけるだけで長い時間がかかる
- 換気扇や浴室乾燥機の中、壁の裏から黒い色が出ている
部品の交換や補修で済むものは、浴室のメーカーや販売店に部品の有無を問い合わせる方法があります。
広い範囲のカビや換気設備の中は、ハウスクリーニングの業者に相談すれば、家庭では届かない所まで見てもらえます。
賃貸の住まいでは、交換や補修の前に管理会社へ連絡してください。
目地とコーキングを、補修で仕切り直す
黒い色がゴムやコーキングの中に残ったものは、落とし続けるより、補修して新しくすることも選択肢に入れます。
自分で手を入れてよいのは、目に見える表面の目地やコーキングを埋め直すところまでです。
自分で触らず、先に相談するとき
賃貸の住まいは、補修の前に管理会社へ連絡します。
浴槽の下や壁の内側から水がにじむ、床がやわらかいときは、業者に任せます。
作業の前に換気扇を回してゴム手袋を着け、必要なら目を守る眼鏡も着けます。
シーリング材が手に付いたら、すぐに拭き取って石けんで洗います。
欠けた目地は、乾かしてから埋める
欠けた目地は、浴室のタイル目地に使えると表示された目地の補修材で埋め直せます。
溝の中のカビを、最初の節と同じ身支度でカビ取り剤で落とし、水で流してからしっかり乾かします。
乾かす程度や、水を使えるまでの時間は、補修材の表示に合わせます。
浴槽まわりのコーキングを打ち直す
カッターで両側に切れ目を入れ、端から引きはがします。
刃の進む先に手を置かないでください。
表面を傷付けないよう、刃は寝かせて当てます。
跡のカビをカビ取り剤で落とします。
身支度は最初の節と同じで、換気・ゴム手袋・目の保護をそろえ、酸性の洗剤は続けて使いません。
水で流したら、よく乾かします。
両側にマスキングテープを貼り、浴室用と表示されたシーリング材を押し出して、へらでならします。

テープをはがす時期は商品の表示に合わせます。
固まるまでの時間も表示に合わせ、その間は水をかけません。
24時間以上置くよう表示している商品もあります。
固まるまでの間はシャワーも浴槽も使えないので、打ち直しは、お風呂を使わずに済む日の朝に始めると、時間に追われずに仕上げられます。
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