浴槽のふちを指でなぞると、白い所はザラッと固く、床の隅の白っぽい所はぬるっと柔らかく、目地の黒い点は爪でこすっても動きません。
どれも「水まわりの汚れ」ですが、正体が違うので、効く洗剤も違います。
落ちない汚れには、汚れの種類と洗剤の系統が合っていないものが少なくありません。
名前を覚えるより先に、色と、触ったときの固さと、出る場所の3つで見分けます。
白い汚れは、爪で触った固さで分ける
白い汚れは3種類あり、どれも水道水や体から出た成分が残ったものです。
水垢は、白く固くてザラザラする
蛇口の根元、鏡、シンクのふちに出る白いウロコや白い膜が水垢です。
水が蒸発したあとに、水道水に溶けていたミネラルが残って固まったもので、爪でこすってもほとんど削れません。

水垢は酸性の洗剤(クエン酸や水垢用の洗剤)で落とす汚れです。
厚く盛り上がるほど育つと、洗剤だけでは届かず、研磨の道具が必要になることもあります。
石けんカスは、白〜灰色でやや柔らかい
浴室の床や壁の低い所、洗面器や椅子の底に出る、白っぽく少しぬるっとした膜が石けんカスです。
石けんの成分が水道水のミネラルと結びつき、皮脂やあかが混ざってできます。
最初は浴室用の中性洗剤とスポンジでこすり、それでも残る白い膜にだけ酸性の洗剤を使うと、強い洗剤の出番を減らせます。
尿石・黄ばみは、トイレの水がたまる所に出る
便器の水たまりのふちや、フチの裏にできる黄色〜茶色の固い汚れが、尿石や黄ばみです。
尿の成分が固まったもので、性質は水垢に近く、トイレ用の酸性洗剤で落とす汚れに入ります。
黒い汚れとピンクの汚れは、こすって消えるかで分ける
黒っぽい汚れは、ブラシで一度こすってみると見分けがつきます。
こすって落ちるなら黒ずみ
トイレの水たまりのふちに出る輪のような黒い線や、洗面ボウルの排水口まわりのくすみは、ほこりや皮脂、水垢が重なった黒ずみであることが多い汚れです。
中性洗剤とブラシでこすって薄くなるなら、カビ取り剤の出番はありません。
黒ずみの段階で落としておけば、上に水垢が重なって固くなる前に片付きます。
こすっても残る点々は黒カビ
浴室の目地やゴムパッキン、天井に出る黒い点々で、こすっても色が残るものは黒カビです。

黒カビは塩素系のカビ取り剤で漂白して落とす汚れで、中性洗剤では色が残ります。
ゴムの奥まで入り込んだ黒い色は、カビ取り剤を使っても薄くならないことがあります。
ピンクのぬめりは、こすれば落ちてすぐ戻る
排水口のまわりや、シャンプーボトルの底に出るピンク色のぬめりは、こすればすぐ落ちますが、数日で戻ってくる汚れです。
ピンクのぬめりにも、カビ取り剤を使ったほうがいい?
スポンジでこすって落ちるうちは、浴室用の中性洗剤で足ります。
戻りが早いときは、洗剤を強くするより、入浴後に水気を流して残さないほうが効きます。
汚れ・場所・洗剤の系統の早見表
洗剤は、酸性・中性・アルカリ性・塩素系の4つの系統に分けて考えます。
水垢・石けんカス・尿石のようにアルカリ性寄りの汚れには酸性、皮脂や手あか、油のように酸性寄りの汚れにはアルカリ性、黒カビには塩素系、毎日の軽い汚れには中性、と覚えておけば、水まわりの洗剤選びはほぼ足ります。
ただ、表の系統はあくまで目安です。
同じ系統でも、使える場所と使えない素材は商品ごとに違うので、最後に決めるのはボトルの表示と、浴室・便器・洗面台の取扱説明書です。
| 汚れ | 見た目と触った感じ | 出やすい場所 | 使う洗剤の系統 | 気をつけること |
|---|---|---|---|---|
| 水垢 | 白く固い、ザラザラ | 蛇口、鏡、シンク | 酸性 | 大理石・天然石、鉄や銅などの金属に酸性を使わない |
| 石けんカス | 白〜灰色、やや柔らかい | 浴室の床、壁の低い所、洗面器 | 中性→残れば酸性 | 酸性は残った膜にだけ |
| 尿石・黄ばみ | 黄〜茶色、固い | 便器の水たまりのふち、フチ裏 | トイレ用の酸性 | 便座、床、金属部に付けない |
| 黒ずみ | 黒っぽい線、こすると薄くなる | 便器の水たまり、洗面ボウル | 中性 | 落ちなければ黒カビを疑う |
| 黒カビ | 黒い点々、こすっても残る | 目地、ゴムパッキン、天井 | 塩素系 | 酸性と混ぜない、同じ日に続けて使わない |
| ピンクのぬめり | ピンク色、ぬるぬる | 排水口、ボトルの底 | 中性 | 水気を残さない |
汚れの名前と同じくらい、素材の名前が効いてくる
同じ水垢でも、付いている面の素材によって、使える洗剤が変わります。
洗剤のボトルの「使えないもの」の欄に並ぶ言葉を、水まわりで見かける素材に置き換えておくと、表示が読みやすくなります。

- 天然の大理石・御影石などの天然石: 洗面カウンターや浴室の床に使われることがあります。酸性の洗剤で表面がくもったり溶けたりするため、クエン酸やトイレ用の酸性洗剤は使えません。
- 人工大理石: 樹脂でできた洗面ボウルやカウンターです。トイレ用の酸性洗剤は、人工大理石を含む大理石には使えません。ほかの洗剤も、取扱説明書の手入れの欄に載っているものを選びます。
- 金属の部分: 便座の金具、ステンレスの手すり、排水口の金具などです。トイレ用の酸性洗剤は金属製品に使えないので、付いたらすぐ水で流します。
- メッキの蛇口: 銀色に光る水栓の多くは金属の表面にメッキがかかっています。研磨剤入りの洗剤や硬いたわしは、表面の傷の原因になります。
- カビ取り剤を避ける所: 塩素系のカビ取り剤は、木製品、ホーロー・アルミ・真ちゅうの金属製品、しっくい壁・クロス壁、浴槽栓などの黒いゴムには使えません。
どの素材か分からない面は、目立たない所で少量を試してから広げてください。
汚れには段階があり、段階で道具が変わる
同じ種類の汚れでも、付いてからの日数で落としやすさが大きく変わります。
- 付いたばかりの汚れ: 中性洗剤とスポンジ、または水拭きで落ちることが多い段階です。
- 重なって育った汚れ: 汚れの系統に合わせた酸性・塩素系の洗剤が必要になります。置く時間は商品の表示に従います。
- 盛り上がった、素材に入り込んだ汚れ: 厚い水垢には研磨の道具、ゴムの奥まで黒くなったパッキンには交換を考えます。
3段階目に入った汚れは、洗剤を強くしたり置く時間を延ばしたりしても、結果が変わらないことが多くあります。
3段階目に入る前の、1〜2段階目のうちに落とすほうが、素材を傷めずに済みます。
浴室全体に黒カビが広がっている、パッキンの交換が必要そう、というときは、ハウスクリーニングやリフォームの業者、賃貸なら管理会社に相談する選択肢もあります。
塩素系と酸性は、同じ日に使わない
水まわりの掃除で起きやすい事故の一つが、黒カビ(塩素系)と水垢・尿石(酸性)を同じ時間に片付けようとする場面です。
浴室でカビ取り剤を壁に吹きつけ、待つ間に鏡にクエン酸のスプレーをかける、という流れです。
塩素系と酸性タイプの洗剤が混ざると、有害な塩素ガスが出ます。
塩素系の洗剤は、単独で使います。
酸性の洗剤や、ほかの洗浄剤を続けて使うことは避け、別の日に分けてください。
排水口やトイレの水がたまる所には、前に使った洗剤が残っていることがあります。
においで「もう大丈夫」と判断するのは避けてください。
作業中に目がしみる、せき込む、気分が悪くなったときは、すぐに作業をやめて浴室やトイレから離れ、換気します。
体調に不安があるときは、医療機関に相談してください。
場所ごとに、最初にそろえる洗剤
全部の系統を一度にそろえる必要はありません。
場所ごとに、いちばん出番の多い1本から始めれば、ボトルの取り違えも減ります。
トイレ
ふだんはトイレ用の中性洗剤とブラシで足ります。
黄ばみや尿石が目立ってきたら、トイレ用の酸性洗剤を足します。
トイレ用の塩素系の洗剤を持っている家は、酸性の洗剤と同じ棚に並べず、離して置いてください。
浴室
浴室用の中性洗剤が中心で、黒カビが出たら塩素系のカビ取り剤を足します。
鏡や蛇口の水垢に使う酸性の洗剤は、カビ取り剤とは別の場所にしまいます。
洗面台
洗面ボウルは中性洗剤とスポンジ、蛇口や鏡の水垢には酸性の洗剤です。

洗面台の素材が天然の大理石なら、酸性の洗剤は使えません。
人工大理石や樹脂のボウルも、使える洗剤が取扱説明書に書かれているので、先に開いておいてください。
道具は、柔らかいものから
洗剤と同じく、こする道具にも強さの段階があります。
柔らかいスポンジ、ブラシ、研磨剤入りのスポンジやクレンザーの順に強くなり、強いものほど表面に傷を残します。

便器には、金属ブラシ、研磨剤入りのナイロンたわし、研磨剤入りの洗剤を使いません。
浴槽や便器、くもり止めの加工がある鏡に、研磨の道具をいきなり当てるのは避けてください。
落ちないからと道具を一段強くする前に、洗剤の系統が汚れに合っているかをもう一度見直すほうが、素材を守れます。
最初の1回は、手袋と換気と中性洗剤から
洗剤をそろえるときに、ゴム手袋も1組加えてください。
酸性・塩素系の洗剤を使う日は、手袋をして換気扇を回してからボトルを開けます。
色と固さで見分けがつかない汚れに当たったら、いちばん弱い中性洗剤から試し、落ちなければ一段ずつ強くする順番に戻ってください。
今日の入浴前に、浴槽のふちと目地を1か所ずつ指でなぞってみれば、自宅の浴室にどの汚れが多いかが分かります。
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