2016年12月、衣類のタグに付く洗濯表示は、国際規格にそろえた新しい記号に切り替わりました。
記号の種類は22種類から41種類に増え、2024年8月にはアイロンの温度などを見直す改正も加わっています。
クローゼットの中には、古い記号の服と新しい記号の服が混ざっていて当たり前です。
洗い方を決めるときにいちばん頼りになるのは、その服の内側に縫い付けられたネームタグの記号です。
洗剤や洗濯機の設定は、その記号の範囲に合わせて選びます。
記号は、形と、線・点・数字・×の組み合わせ
新しい洗濯表示は、洗濯おけ、三角、四角、アイロン、丸の5つの形が土台です。
タグには、家庭洗濯、漂白、乾燥、アイロン、クリーニングの順に並びます。
形がそのまま「何の処理か」を表し、そこに付く印が「どこまでならよいか」を表します。

形に付く印の読み方
| 印 | 付く場所 | 意味 |
|---|---|---|
| 下の線(1本・2本) | 洗濯おけ・丸の下 | 線なしが通常の強さ、1本は弱く、2本は非常に弱く |
| 点(1〜3個) | 四角の中の丸・アイロン | 点が多いほど高い温度まで |
| 数字 | 洗濯おけの中 | 洗う液の温度の上限 |
| × | 形に重ねて | その処理はできない |
もう一つ大事なのは、記号が「この洗い方がよい」という指示ではなく、「この範囲なら傷みにくい」という上限を表している点です。
おけの中に40とあれば、40℃で洗えという意味ではなく、40℃以下の水やぬるま湯で洗うという意味になります。
記号の強さか、それより弱い範囲で扱えば、表示の内側に収まります。
家庭洗濯は、おけの数字と下の線で決まる
洗濯おけの形は、家で水洗いできるか、どの強さでできるかを表します。
| 記号 | 意味 | 家での扱い |
|---|---|---|
| おけに数字(30・40など) | 洗濯機で洗える。数字は液温の上限 | 標準のコースで洗える |
| 数字の下に線1本 | 洗濯機で弱く洗う | 弱水流やおしゃれ着のコース |
| 数字の下に線2本 | 洗濯機で非常に弱く洗う | 手洗いに近いやさしいコース |
| おけに手 | 手洗い | 押し洗いで、洗濯機の手洗いコースも候補 |
| おけに× | 家で水洗いできない | クリーニング店へ |
線が増えるほど、洗濯機の動きを弱くするという読み方です。
数字が効いてくるのは、お湯を使う日
水道の水だけで洗う日は、おけの数字を気にする場面は多くありません。
数字が関わるのは、お風呂の残り湯や給湯器のお湯を洗濯に使う日と、漂白剤をぬるま湯に溶かしてつけ置きする日です。
数字より熱いお湯は、縮みや色落ちのもとになります。
30とある服は、ぬるま湯のつけ置きにも30℃を超えない温度で使います。

手洗いの記号は、液温の上限が40℃で、2024年の改正で30℃までの手洗いを表す記号も加わりました。
手洗いの記号が付いた服でも、洗濯機にやさしく洗うコースがあれば、そのコースで扱える場合があります。
洗濯機のコースの名前と動き方は、機種ごとに違います。
手洗いの記号の服を入れてよいコースがどれかは、洗濯機の取扱説明書で見てください。
おけに×が付いた服は、家で水に浸けません。
ウールのコートやスーツなどで見かける記号で、ここで迷ったらクリーニング店に任せる側です。
漂白は、三角の中の線で塩素系と酸素系を分ける
三角の形は、漂白剤を使ってよいかと、使ってよい漂白剤の種類を表します。
シミや黄ばみを落としたいとき、いちばん先に見る記号です。
| 記号 | 意味 | 使える漂白剤 |
|---|---|---|
| 白い三角 | 漂白剤が使える | 塩素系・酸素系のどちらも |
| 三角に斜めの線2本 | 酸素系だけ使える | 酸素系(塩素系は使えない) |
| 三角に× | 漂白剤は使えない | なし |
塩素系は白い服を真っ白にする力が強い反面、色柄物の色まで抜いてしまう漂白剤です。
酸素系は色柄物にも使える漂白剤で、ボトルや袋に「酸素系」「色柄物にも」と書かれています。
ただし、粉末の酸素系漂白剤は、毛(ウール)と絹には使えません。
三角の記号は、漂白剤そのものだけでなく、漂白剤が入った洗濯洗剤を使ってよいかの判断にも使います。
三角に×の服を洗う日は、洗剤の裏の成分表示に「漂白剤」の文字がない洗剤を選びます。
漂白剤を使う前に
三角に×の服には、塩素系も酸素系も使いません。
塩素系と酸素系の漂白剤は、一緒に使わず、続けても使いません。
塩素系は、酸性タイプの洗剤と混ざると有害なガスが出ます。

乾燥は、四角の中が丸か線かで読み分ける
四角の形は乾かし方を表し、中に丸があれば乾燥機(タンブル乾燥)、線があれば干し方の記号です。
タンブル乾燥の記号
タンブル乾燥は、ドラムの中で洗濯物を回しながら温風で乾かす方法です。
洗濯乾燥機の乾燥や、回転式の衣類乾燥機、コインランドリーの乾燥機がこれに当たります。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| 四角に丸、点2つ | タンブル乾燥ができる。排気温度の上限は80℃(高温) |
| 四角に丸、点1つ | タンブル乾燥ができる。排気温度の上限は60℃(低温) |
| 四角に丸と× | タンブル乾燥はできない |
×の付いた服を乾燥機に入れると、縮みや型崩れにつながることがあります。
乾燥機を使う日が多い家は、家族の服にこの×がどれだけ付いているかを一度見ると、乾燥機に入れる物と干す物を洗う前に分けられます。
コインランドリーの乾燥機も、同じ記号で決める
コインランドリーの大型の乾燥機も、タンブル乾燥に当たります。
点2つの服は高めの温度の設定でも表示の範囲内で、点1つの服は、ヒーターを「弱」や低温の側に合わせる記号です。
店の乾燥機で温度を選べないときは、点1つの服や×の服は入れずに持ち帰り、家で干します。
乾燥機の扉や操作盤に書かれた、入れてはいけない物の注意書きも、記号と一緒に読みます。
干し方の記号
四角の中の線は、縦の線がつり干し、横の線が平干しです。
線が2本になると、脱水をせずにぬれたまま干す「ぬれ干し」を表します。
四角の左上に斜めの線が入っていれば、日陰で干すという意味です。
平干しの記号は、ハンガーにかけると重みで伸びやすいニットに付いていることの多い記号です。
アイロンとクリーニングは、点の数と丸の中の文字を見る
アイロンの記号
アイロンの形の中の点は、底面の温度の上限を表します。
点3つが高温、2つが中温、1つが低温で、アイロンの形に×が付いていればアイロンはかけられません。
上限の温度は、2024年の改正で高温が200℃から210℃になるなど、それぞれ10℃ずつ上がり、スチームを使わない低温の記号も加わりました。
2016年12月より前の古いタグでは、点ではなく「高」「中」「低」の文字で温度が書かれています。
クリーニングの記号
丸の形は、クリーニング店での処理を表し、家庭の洗濯とは別の情報です。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| 丸にP | ドライクリーニングができる(パークロロエチレンなどの溶剤) |
| 丸にF | ドライクリーニングができる(石油系の溶剤) |
| 丸にW | ウエットクリーニングができる(専門の技術による水洗い) |
| 丸に× | その種類のクリーニングはできない |
ドライの記号が付いていても、家庭洗濯の記号に×がなければ、家でも洗える場合があります。
反対に、家庭洗濯に×があってウエットクリーニングの記号がある服は、水洗いをクリーニング店の技術に任せるという意味です。

セーターのタグを、左から順に読む
冬のウールのセーターを例に、こんな並びのタグを読んでみます。
タグには左から、おけに手、三角に×、四角に横線1本、点1つのアイロン、丸にPの5つが並んでいるとします。
| 記号 | 読み方 | その服の扱い |
|---|---|---|
| おけに手 | 手洗いができる | 洗面器で押し洗い、またはやさしいコース |
| 三角に× | 漂白剤は使えない | 漂白剤入りの洗剤も避ける |
| 四角に横線1本 | 脱水してから平干し | 平らな所に広げて干す |
| 点1つのアイロン | 低温まで | アイロンの温度を低に合わせる |
| 丸にP | ドライクリーニングができる | 家で不安ならクリーニング店にも出せる |
5つを順に読むと、家で洗うなら手洗いで、漂白せず、平らに干して、アイロンは低温という1本の段取りになります。
記号を1つずつ覚えるより、洗う、漂白する、干す、かける、店に出すの順で、その服の1日を組み立てるように読むと、タグの意味が頭に入ります。
古い記号のタグと、タグが見当たらない服
古い記号のタグ
2016年11月までに表示が付けられた服には、手洗いの「手洗イ」の文字や、今とは形の違う塩素漂白の記号のような古い表示が残っています。
古い表示でも、おけの中の数字は「◯℃を限度」とする液温の上限で、数字の読み方は新しい表示と同じです。
違うのは、洗い方の強さの書き方と記号の形です。
古い表示では、おけの中に「弱」の文字を入れて、洗濯機の弱水流か弱い手洗いがよいという言い方で強さを示していました。
新しい表示では、同じ内容をおけの下の線で表します。
古い手洗いの記号は「洗濯機は使用できない」という意味だったので、手洗イの文字がある古いタグの服は、洗面器での押し洗いを基本に考えます。
古い表示はそのとき書かれた意味どおりに読み、迷った所はやさしい側に倒して扱います。
古い表示の「中性」「弱」はどう読む?
古い表示では、おけの形の記号の中に、液温の数字といっしょに「弱」の文字や、数字の下に添えた「中性」の文字が書かれていました。
新しい表示の下線や付記用語に当たる内容で、弱い水流と中性の洗剤で洗うという指示として読めます。
タグがない、切ってしまった服
タグを切ってしまった服や、手作りの服、譲り受けた服のように、表示がないものもあります。
素材が分かれば手がかりになりますが、ウール・絹・レーヨン・革の付いた服や、型崩れが心配な服は、家で試さずクリーニング店に相談するほうが傷みを避けられます。
綿やポリエステルだと分かっている服でも、最初の1回は手洗いか弱いコース、陰干しのように、いちばん弱い扱いから始めます。
肌に当たるタグを切るなら、切る前に両面をスマートフォンで撮り、服の名前を付けて保存します。

洗濯表示は、作った側からその服の持ち主への、扱い方の申し送りです。


