エアコンの掃除で家庭が受け持つのは、フィルターと、外から見えて手の届く部分までです。
その奥の熱交換器(冷たい風や温かい風を作る、薄い金属の板が並んだ部分)や送風ファンは、分解の知識が要る場所で、業者に任せる側に入ります。
外し方や洗ってよい部品は機種ごとに違うので、作業の手引きは、手元の取扱説明書の「お手入れ」のページが何より先です。
説明書が見当たらないときは、室内機の側面などに貼られた型番から、メーカーのサイトで読める場合があります。
手を付ける前に、電源と機種と足場を見る
電源プラグを抜くか、ブレーカーを切る
運転を止めたら、電源プラグを抜くか、エアコンのブレーカーを切ってから手を入れます。

リモコンで止めただけの状態では、本体に電気が通っています。
フィルターを外す前に、電源そのものを切ります。
コンセントが室内機のすぐ横の高い位置にあって手が届きにくいときは、踏み台に乗る前に、分電盤でエアコンのブレーカーを切る方法を選びます。
室内機の中の金属の部分は、薄い板の端で手を切ることがあるので、素手で触れないようにします。
フィルターの自動お掃除機能が付いているか
前面パネルを開けたとき、フィルターの手前に機械の部品や小さな箱(ダストボックス)が付いていれば、フィルターの自動お掃除機能付きの機種です。
自動で掃除する機種でも、集めたほこりはダストボックスにたまるので、捨てる作業は残ります。
お手入れのランプが点いたら掃除の合図になる機種もあります。
ダストボックスの取り外しは取扱説明書に書かれた範囲にとどめ、自動お掃除のユニットそのものは外したり分解したりしません。
フィルターのほかに、色や形の違う別のフィルター(においや空気の汚れを取るためのもの)が付いている機種もあります。
水で洗えないフィルターもあるので、外す前に説明書でどれを洗ってよいかを見分けます。
踏み台は、足場の広い安定したものを
室内機は高い位置にあるので、作業の多くは踏み台の上になります。
キャスター付きの椅子や、ぐらつく台には乗りません。
フィルターを両手で外すと体を支える手がなくなるため、足を置く面が広く安定した踏み台を選び、背伸びをしなくて済む高さで使います。
家族がいるなら、踏み台を押さえてもらうと、両手を使う作業が落ち着いてできます。
室内機の下を空ける
フィルターを外すと、たまっていたほこりが真下に落ちます。
エアコンの下にテレビやパソコン、ソファがあれば、少し動かすか、布をかけて覆います。
踏み台を置く場所の床に物があると足元が不安定になるので、作業する範囲の床を先に片付けてから始めます。
手元にそろえる物
取扱説明書(または型番を控えたメモ)
ブラシの付いたノズルを付けた掃除機
柔らかい布を数枚と、水で薄めた台所用の中性洗剤
床に敷く新聞紙かシート
足場の広い安定した踏み台
フィルターから外装まで、順に手を入れる
パネルを持ち上げ、取扱説明書に描かれた向きでフィルターを引き出します。
ほこりが落ちるので、真下に新聞紙かシートを敷きます。
ほこりが付いている面にノズルを当てると、網目の奥に押し込まずに吸い取れます。

取扱説明書が水洗いを認めている場合に限り、ほこりの付いていない側からシャワーの水を当てて流します。
油汚れには薄めた中性洗剤を使い、熱いお湯やたわし、みがき粉は使わず、日陰でよく乾かします。
柔らかい布でから拭きし、汚れが強い所は、水かぬるま湯でかたく絞った布で拭きます。
前面パネルは、水洗いしないよう指定している機種があります。
風向きを変える羽根(ルーバー)の表面を、布を巻いた指の届く範囲で拭きます。

フィルターを付けないまま運転すると、ほこりが中に入るので、パネルを閉める前に向きと位置を見直します。
ベンジンやシンナーのような揮発性の液、みがき粉、硬いたわしは、本体にもフィルターにも使いません。
樹脂の部品の表面を傷めたり、変形させたりするおそれがあるためです。
フィルターが破れていたとき
洗っている途中で網が破れていたり、枠が割れていたりしたら、そのまま戻さずに交換を考えます。
交換用のフィルターは、室内機の型番に合う純正の部品を、メーカーや販売店で取り寄せられることが多いです。
フィルターの上に貼る市販の汎用品は、風の通りや自動お掃除の動きに影響することがあるので、取扱説明書で使ってよいとされているかを見てから選びます。
吹き出し口の奥に黒い点が見えるとき
ルーバーの奥をのぞくと、筒の形をした送風ファンに、黒い点が並んで見えることがあります。
割り箸や棒に布を巻いて、奥のファンをこする掃除はしません。
ファンを傷めたり、指をけがしたりするおそれがあるからです。
奥の汚れは、業者による分解を伴うクリーニングの範囲になります。

市販の洗浄スプレーを、内部に吹きかけない
洗浄スプレーで起きること
内部に残った洗浄剤が、樹脂の部品を傷めたり、電気部品の絶縁を悪くしたりして、発煙や発火につながるおそれがあります。
熱交換器の表面の加工がはがれ、水の通り道が詰まって、水漏れの原因になることもあります。
大手メーカーの取扱説明書やサポートページでも、市販の洗浄スプレーは使わない、または控えるようにと書かれています。
エアコンの誤った内部洗浄による火災は、製品事故として報告された分だけで、2015〜2019年度の5年間に20件起きています。
洗浄液が配線のつなぎ目に付き、ほこりや湿気と一緒に電気の通り道ができて、そこから熱を持つ仕組み(トラッキング現象)です。
消毒用のアルコールのような燃えやすい液や、においを抑えるためのスプレーを吹き込むのも、同じ理由で避けます。
スプレーの缶に使い方が書かれていても、エアコンの取扱説明書が使わないよう求めていれば、エアコン側の指定が先です。
すでにスプレーを使ったあとで、焦げたようなにおい、ふだんと違う音や振動、水漏れ、リモコンで操作できない、といった様子があれば、運転を止めて電源プラグを抜き、メーカーの修理窓口に点検を相談します。
中を乾かす運転と、業者に任せる所
冷房のあとに、内部を乾かす
冷房や除湿を使うと、熱交換器には結露した水が残ります。
機種によっては、運転を止めたあとに送風や暖房で中を乾かす機能があり、「内部クリーン」「内部清浄」など名前は機種ごとに違います。
カビやにおいを抑える目的の運転なので、付いている機種なら、取扱説明書に沿って使います。
自動で動く設定と、自分でボタンを押す設定がある機種もあるので、どちらになっているかはリモコンの表示で見分けます。
ここから先は、業者に任せる
- 熱交換器や送風ファンの汚れ、結露水を受ける皿(ドレンパン)の掃除
- 自動お掃除機能のユニットの分解
- 天井に埋め込まれたタイプの室内機
- 室外機の内部(外側は、表面を拭き、手で取れる落ち葉やごみを除くまで)
フィルターをきれいにしても運転のたびににおいが残る、吹き出し口から黒い粒が飛んでくる、といった様子は、奥に汚れがたまっていることを疑う目安です。
こうしたときに家でできることを増やそうとせず、業者のクリーニングを検討する段階と考えます。
室外機のカバーを外したり、中に水をかけたりはしません。
室外機の上に乗ったり、重い物を載せたりするのも避けます。
室外機は、吹き出し口の前に物を置かないようにして、まわりの風の通りを確保するところまでが家庭の受け持ちです。

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掃除する日は、エアコンを止めていられる日に
フィルターを水で洗うと、乾くまでのあいだは本体に戻せません。
真夏や真冬に掃除をすると、乾くのを待つ間エアコンを止めるのがつらく、生乾きのまま戻したくなります。
冷房を使い始める前の、窓を開けて過ごせる季節の晴れた日に合わせると、乾かす時間に余裕が出ます。
冷房や暖房を毎日使っている時期は、水洗いまではせず、掃除機でほこりを吸うだけの手入れにとどめれば、フィルターを外している時間は短くて済みます。
水洗いが必要なほど汚れていたら、晴れて気温の落ち着いた日にまとめて行います。
フィルターを乾かす日陰の場所は、踏み台を出す前に決めると、外してから戻すまでの流れが途切れません。
季節の初めの試運転も、同じ日に
しばらく使っていなかったエアコンなら、掃除のあとに一度運転して、風が出るか、水が垂れないかを見ます。
暑くなってから不具合に気づくと、修理やクリーニングの予約が混み合う時期と重なることがあります。
奥の汚れが気になって業者に頼む場合も、自分の掃除が早めに済んでいれば、空いている日程から選べます。
冷房を毎日使い始める少し前が、掃除と試運転をまとめて済ませる目安になります。
次の晴れた休日に、まずフィルター1枚から。
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